こんにちは、FP理系パパ「エフリパ」です!
育休、できることならいくらでも取りたいですよね。でも心配なのはやっぱりお金の話。この記事では、育休中にもらえるお金が実際どれくらいなのか、FPが分かりやすく解説します。
また育休の取り方によっては、配偶者の扶養に入れる場合があります。意外と知られていない育休中の扶養についても解説していますので、育休を検討している方の参考になれば嬉しいです。
育休中の手取りは、保険料免除によって約8割
「育休中の手取りは約8割」こう聞いたことがある人も多いんじゃないでしょうか。間違いではありませんが、どうして8割なのか仕組みはちょっと複雑です。育休中にもらえるお金について解説していきます。
育休中は、男性女性関係なく育児休業給付金が支給されます。実は、育児休業給付金は会社からではなく、雇用保険から支払われています。そのため、会社からは無給となっています。
では雇用保険からどのくらい支払われているかというと、育休期間によって異なるんです。
・育休開始から180日間:休職前の67%
・育休開始から180日経過後:休職前の50%
育休開始から180日間は67%、180日を過ぎると50%に減るということですね。育休は原則子どもが1歳になるまでですが、保育園等に入れない場合は延長が可能です。この場合、育児休業給付金も延長申請が可能で、金額は変わらず休職前の50%です。
あれ?手取り8割の話はどこへいったんでしょうか?そのからくりは社会保険料にあります。
育休中は、所得税と社会保険料、雇用保険料が免除されるんです。これが、「育休中は手取りが約8割」の仕組みです。(参考:厚生労働省「育児休業給付金が引き上げられました!!」)
社会保険料免除の条件については、こちらを確認してください。
場合によりますが、基本的に手取り約8割なのは育休開始から180日間と思っておく方がよいです。180日以降は、給付金が休職前賃金の50%に減るため、手取りも減ることになります。
産後パパ育休を取る場合は「180日間」の考え方に注意
産後パパ育休の場合も、給付金や手取りの考え方は同じです。取得期間は最大4週間なので、給付金は67%、手取りは約8割となります。
産後パパ育休と、通常の育休をどちらも取得する場合、「180日間」は合計の期間になります。
例えば産後パパ育休を20日間取得した場合、通常の育休が180-20=160日間までは賃金が休職前の67%、それ以降は50%になります。
育休中の社会保険料免除の条件
育休中の社会保険料免除には条件があります。(参考:日本年金機構「育児休業等期間中の社会保険料免除要件が見直されます。」)
・育休開始日の属する月から終了日の翌日が属する月の前月までの社会保険料
・育休開始日の属する月内に14日以上育児休業を取得した際の当該月の社会保険料
一つ目の条件、???って感じですよね。「育休開始日の属する月」から「終了日の翌日が属する月の前月」までの分が控除されるってことなんですが、それでも分かりにくい…
分かりやすくするために、例として、3月25日から4月21日まで育休を取った場合で考えるとこうなります。これは私が実際に取得した産後パパ育休のケースです。
育休開始日の属する月=3月
終了日の翌日(4月22日)が属する月(4月)の前月=3月
ということで、3月の社会保険料のみ免除されることになります。
では次に二つ目の条件も、例として6月1日から6月30日まで育休を取った場合で考えてみます。これは私が取得した通常の育休の期間です。
育休開始日の属する月(6月)内に14日以上取得しているので、当該月(6月)の保険料が控除されることになります。
一つ目の条件は月をまたがって育休を取る時、二つ目の条件は同じ月の中で育休開始から終了まで完結する場合、と思えばよいと思います。
ボーナス(賞与)にかかる保険料免除の条件
ボーナスにかかる社会保険料免除の要件も少し分かりにくいので注意です。条件は以下の通り。
・賞与を受け取った月の末日を含む、連続した1ヶ月を超える育児休業を取得した場合
やっぱり難しいので、こんな場合を考えます。まず、保険料免除になる場合。
・賞与が6月15日に支給
・6月20日から7月30日まで育休を取得
「賞与を受け取った月(6月)の末日(6月30日)を含む、連続した1ヶ月(6月20日から7月20日)を超える育児休業」となるため条件を満たしています。
次に、免除にならない場合。
・賞与が6月15日に支給
・6月20日から7月15日まで育休を取得
「賞与を受け取った月(6月)の末日(6月30日)を含む、連続した1ヶ月(6月20日から7月20日)を超えない育児休業」となるので、条件を満たしません。
育休中にボーナスにかかる保険料が免除になるって相当大きいですよね。お金の面で育休を悩んでいる人にはぜひ覚えておいてほしいです。
育休中は会社に支払いが発生する場合がある!
育休中は、会社からは無給であると説明しました。その影響で、会社へ支払いが発生する場合があるんです。私が実際に直面した例で解説していきます。
私は6月1日から6月30日まで育休を取得しました。この場合、6月の給与明細はどう表示されるでしょうか。給与明細の再現イメージがこちらになります。
まず、「支給」側。育休中は無給なので基本給は0円です。そのほかの手当は先月(5月)分です。
次に「控除」側。「健康保険」「厚生年金」の社会保険料は前月分が記載されています。天引きされる保険料は前月分のためです。
こちらでの解説のとおり6月分の社会保険料は免除されますが、その時期は育休取得月の翌月、7月になります。住宅費や食事代の天引きも前月分です。
というわけで、6月は総支給額より総控除額の方が多いために支払いが発生してしまったんです。育休初月の場合にはよく起こるケースかと思いますので、これから育休取得の方は要注意です。
長期の育休ではパートナーの扶養に入ることを検討
産休と育休を合わせて長期で取得する方は、配偶者の税扶養に入れる可能性があります。よく「103万円の壁」という言葉を聞くかと思いますが、年収が103万円以下の場合は配偶者の扶養に入れることを意味しています。
出産手当金や出産育児一時金、育児休業給付金は非課税のため給与収入にはあたりません。そのため、産休&育休以外の期間の給料が103万円以下の場合、その年は扶養に入れることになります。
税扶養に入ると配偶者の所得控除が多くなり、税負担が少なくなります。条件を満たしているのに扶養に入らないのは単純に損です。育休を考えている方は、育休を取る際にこの記事を思い出していただければと思います。
産休中のお金の話もこちらの投稿で解説しているので合わせてチェックしてください。
「税扶養」は保険証と関係ない
また、年の途中からでも税扶養には入れます。育休中で、「自分も当てはまるかも」という方は、パートナーに勤め先に確認してもらうようにしてください。
我が家では妻の産休育休が長いため、2024年は私の税扶養に入っています。
「扶養に入ると、その年だけ保険証もパートナーと同じ保険のものになるの?」と疑問に思うかもしれません。保険証などの社会保険上の扶養と、税制上の扶養は別なので、税扶養に入っても保険証はいつも通りで大丈夫なんです。
育休中の扶養について、詳しくはこちらを確認してください(キッズライン「育休中はパートナーの扶養控除が受けられる!条件は?申請方法は?【FP監修】」)。
まとめ:お金事情を把握して育休を検討しよう
この記事では、育休中にもらえるお金について解説してきました。「こんなはずじゃなかった」とならないよう、シミュレーションしてから育休を検討してみるのがオススメです。
・育休中は社会保険料が免除されるので手取りが約8割(最初の180日間)
・社会保険料免除の条件は育休期間が月をまたぐ場合と、そうでない場合で異なる
・条件によって、ボーナスにかかる保険料も免除になる
・育休中は勤め先に支払が発生する場合がある
・長期で育休取得の場合はパートナーの税扶養に入れる場合がある
知らないと損する内容もあったかと思いますので、育休を取る際にはぜひ参考にしてください。
産後パパ育休や通常育休の制度については、こちらの記事で解説しているので、合わせてご覧ください。
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